「大和古寺風物詩」を再読して
久しぶりに本箱を漁っていたら一番奥から「大和古寺風物詩」が出てきた。前に一度探したことがあったが見つからずに止めた事があった。それが探してもいないのに出てきたのだ。懐かしくなってペラペラめくっているうちにいつか一冊読み終えて、かって読んだ内容をだいぶ詳しく思い出すことができた。写真家入江泰吉の写真が美しい。「まほろば紀行」を書くときのイメージとしていたが、その観察眼や感受性といったところがいかんともしがたく、あまりにかけ離れているのに愕然とした。まあ気をとり直してその感想などをかくことにした。
亀井勝一郎は1907年函館市生まれ旧制函館中学校(現・北海道函館中部高等学校)から旧制山形高等学校(現山形大学)1926年に東京帝国大学文学部美学科に入学、1927年には「新人会」会員となりマルクス・レーニンに傾倒し、翌1928年には退学。4月には治安維持法違反の疑いにより投獄され、1930年保釈される。1932年にはプロレタリア作家同盟に属す。その後、仏教との出会いにより開眼し、親鸞の教義を信仰し、宗教論、美術論、人生論、文明論、文学論など人間原理に根ざした著作を連載した。「日本人の精神史研究」は彼のライフワークとなる。1966年死亡した。
私の本は1971年刊行で幸いにも購入納品書まで綴じこんでいた。見ると昭和48年1月18日となっており,かれこれ40年前ということになる。亀井が奈良に再々訪れていたのは本の中に記されているのを抜書きすると以下のとおりである。(いずれも昭和)
斑鳩宮 17年秋 17年秋 20年秋
法隆寺 12年秋 13年春 16年秋 17年秋
中宮寺 14年春 17年秋 20年秋
法輪寺 17年秋
薬師寺 14年春 17年秋
唐招提寺 17年秋
東大寺 17年秋 17年秋 17年秋
新薬師寺 17年冬