玉骨生家、修復開館へ

玉骨生家、修復開館へ-11月21日には俳句大会【五條】  (2008.9.20 奈良新聞)

11月11日の全面公開を待藤岡家住宅。右が離れ座敷=五條市近内町
 戦後の大和俳壇の重鎮、藤岡玉骨(本名・長和、明治22年―昭和41年)の生家で、五條市近内町の登録有形文化財「藤岡家住宅」が2年8カ月の年月をかけて修復され、11月11日から全館公開される。開館を記念して、同月21日には「藤岡玉骨記念俳句大会」(奈良新聞社など後援)も行われる。

 藤岡家は江戸時代からの庄屋で、「大坂屋」の屋号で薬や染物、両替なども商っていた。江戸時代の建造物の母屋と離れ座敷、別座敷、内蔵、土塀のほか明治時代に増築された書斎や大広間などが復元された。

 玉骨はこの家に生まれ、東京大学法学部からエリート官僚の道を進んだ。一方で、第三高校時代に与謝野鉄幹に出会って俳号・玉骨を受け、その後も文芸雑誌を発行するなど高浜虚子ら多くの文人と交わり、文芸活動を続けた。「ホトトギス」同人。

 昭和20年、うた代夫人とともに生家に戻ったが、夫妻の死後は空き家に。平成10年の台風禍で傷みが激しく解体も考えられたが、玉骨の孫で現当主の藤岡宇太郎さん(茨城県在住)がインターネットを通じて知り得た五條市民に相談。平成16年末に有志市民によって同住宅管理法人「うちのの館」(田中修司理事長)が立ち上がり、修復を決めた宇太郎さんとともに保存と活用へと動き出した。

 平成18年3月に工事着手。昨年春には母屋などが復元され、一部が公開されていた。その後、貴賓の間と呼ばれる離れ座敷の修復や庭園、資料展示スペースとなる蔵などの整備を行い、完成間近となった。

 記念俳句大会には、投句料1000円(二句一組、五條市民は無料)で、誰でも応募できる。当季雑詠(=季節のもの)。締め切りは大会当日の正午。大賞や市長賞、奈良新聞社賞など入選12句を選ぶ。

 大会当日は、島田康寛立命館大学教授の講演「俳句と日本画」がある。会場の都合上、定員は先着50人。大会出席希望者は、所定の投句用紙に記入して申し込む。問い合わせは、うちのの館、電話0747(22)4013。

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